ズートピア(2016)
「一番怖いのは理由もなく怖がること」
ズートピア MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
おすすめ度…カンスト
ジャンル…アドベンチャー
監督
リッチ・ムーア
バイロン・ハワード
ジャレド・ブッシュ(共同監督)
脚本
ジャレド・ブッシュ
フィル・ジョンストン
【予告】
【あらすじ】
動物が人間のように暮らす楽園、ズートピア。誰もが夢を叶えられる人間も顔負けの超ハイテク文明社会に、史上最大の危機が訪れていた。立ち上がったのは、立派な警察官になることを夢見るウサギのジュディ。夢を忘れたサギ師のニックを相棒に、彼女は奇跡を起こすことができるのか…?「アナと雪の女王」「ベイマックス」のディズニーが夢を信じる勇気にエールを贈る感動のファンタジー・アドベンチャー。
【感想】
一言で感想を述べると
なんだこの名作は!!
あまりに面白すぎてブルーレイ買っちゃったよ!!もう20回くらい見ちゃってるよ!!
ここまで万人におすすめできる素晴らしき娯楽映画はそうそうない。案の定、映画評論家からは絶賛の嵐。
そんな今作の魅力をポイントを押さえながら説明したいと思う。
見所1 現実的な話
ディズニーと言うと筆者のイメージでは愛とか魔法の世界感で繰り広げられるファンタスティックな物語だったのだけど
この「ズートピア」はひたすら現実的な話である。
主人公ジュディは警察官になって世界をより良くする夢がある。
しかしそれは「女だから」とか「ウサギだから」と理由を並べられ何度も何度も足を引っ張られる。
彼女は性別や種別によって大きな仕事を任せてもらえず不満を募らせる。
ディズニーは彼女の上司に
「仕事は『何をしたいか』ではなく『何かできるか』。力の弱いウサギは警察官なんか出来るはずがない。ニンジン畑に帰れ。ありのままに。」
と、まさかの自作映画「アナと雪の女王」のヒット曲「Let It Go」を持ち出して言わせるという荒業までやってしまっている。
それでもジュディは逆境にめげず、自分の信念を持って努力する。
見所2 主人公ジュディが聖人君子ではない
大抵、子供向けの作品だと主人公は絶対正義である。ましてや天下のディズニー。勧善懲悪万歳の世界だ。
対してジュディは非常に人間くさい。
確かに彼女は素晴らしき人格者である。夢に向かって努力もできるし、周りに流されないタフなハートも持っている。
しかし「みんな平等に」と言う割には自身は差別を行なっているのだ。
キツネを見たら無意識に「何かしでかす」と決めつけたり、交通整理は自分のような優秀な人間がするような仕事ではないと主張したりと自分でも気づかない内に親や社会に植え付けられた人種や仕事に対して差別意識を持っているのだ。
これは日本語吹き替えにはないセリフだが、原語版を見ると彼女は
「わたしの足を引っ張ることで自分の惨めな人生が救われると思ってるのね?」
とニックに吐き捨てている。
また、彼女の成長についても綿密なストーリー構成がなされている。
序盤のジュディは真面目でまっすぐ過ぎて融通の利かない人物として描かれている。
それが詐欺師のニックや色んな信条を持った動物たちに出会うことで、多少ルールを破って姑息な手を使ってでも目的を果たす心の柔軟性を持つまで成長した。
おいおい、いいんかいディズニー。でも筆者はこういった描写によりこの映画が大好きになった。
見所3 ジュディとニックの関係が素晴らしい
キツネのニックとの相棒関係がいい。
というか、今作を1回目に視聴したときニックのかっこよさにしか目に行かなかったほど彼は非常に魅力的な人物だ。
序盤で彼はつかみ所のない口上手な詐欺師として主人公の前に登場する。
脱税をしてよその店のものを転売しあこぎな商売で生計を立てるどうしようもない奴だ。
しかし彼はジュディと違いニュートラルに物事を見る点において非常に優れている。
それは彼自身、幼い頃から「キツネだから」と差別に遭い苦しんだ経験があったからだった。
真っ直ぐなジュディのことをバカにしつつも決して見かけの勝手なイメージを押し付けたりしない。
酸いも甘いも噛み分けた彼は他の誰よりも達観していて、世間に流されない自身の確固たる価値基準を持った大人なのだ。
ここまで魅力的なヒーローキャラが未だかつてディズニーにいただろうか?
「男は女をハントし女は王子様を待つ」「男は外に出て働き、女は家を守る」というディズニーや従来の男女観の法則を無視し
対等な存在として性別や種族をも超えて理解し合う2人は、
現代における男女関係の理想の究極を行っているのではないか。
このような映画が流行ることも、段々と時代が変わって来ているという証なのかもしれない。
【ズートピア】